洗車でガラスコーティングは痛まないの?洗車ソムリエ協会代表理事、尾島康弘氏に聞くガラスコーティング車への正しい洗車。尾島氏によると最も注意すべきは洗車用の洗剤選びなんだそうです。今回は、この洗車洗剤の正しい選び方について伺いました。
まず、一般の方が洗車をする際、意外と多いのが食器用洗剤を利用することですが、これはあまりお勧めしていません。汚れが落ちないということはないのですが、落ちにくいのです。
車体を覆う汚れというのは、そのほとんどが、排ガスなどの空気中を漂う工業系の油です。それに対し、食器用洗剤というのは、食用油などの植物性の油汚れに対してはしっかりと汚れを落としてくれますが、工業系の油汚れに対しては、力を発揮できません。なので、まずはカーシャンプーを使用するようにしてください。
高い洗車洗剤と安い洗車洗剤では、どういったところに違いがあるのかご存知でしょうか。もちろん中に含まれる成分の違いではあるのですが、その中でもっともコストがかかる成分、それはアルコールです。
洗車洗剤は界面活性剤で油を包み込み、アルコールが揮発することでその汚れを浮かせ、洗い流しやすくする事で洗浄効果を高めています。そのため、品質の良いアルコールを多く含んでいる製品ほど、洗浄効果は高まりやすいのですが、必然的にコストも上がります。
また、意外かもしれませんが、よく落ちる洗車洗剤ほど泡立ちません。なぜならアルコールは泡立たないからです。逆に言えば泡立つ洗車洗剤ほどアルコールが少なく、汚れを浮かせにくい洗剤だということになります。
では、具体的にどの洗剤が洗車に良いのかという話になるのですが、これが一番難しい問題になります。それぞれのガラスコーティング剤によって相性というものがあり、最適な洗車洗剤が変わるからです。洗車洗剤には様々な成分が含まれていているのですが、その成分が特定のガラスコーティングに対して悪影響を及ぼす場合があるのです。特にアルカリ度数が高ければ高いほどガラス成分などのコーティングを構成する成分に悪影響を与えたりする場合があります。しかし、どのメーカーも、洗車洗剤に含まれる成分の詳しい内容は明かしていません。「界面活性剤」と一言書かれている程度です。後はせいぜい中性、アルカリ性の表記がある程度です。
その中で、最適な洗車洗剤を見極めようとしても、見極められるものではありません。オイル系のコーティングですとそもそも洗車がNGですしね。洗剤がトップコートをはがしてしまいますから。
そのような状況下でよりよい判断をしようとすると、ご自身が依頼したガラスコーティング施工店や、コーティングブランドで販売している洗車洗剤を使うのが一番確実です。こういった洗車洗剤は、その店舗やブランドが提供しているコーティングに併せた洗剤を販売していますので、相性の問題は発生しません。安心してお使い頂けると思います。
また、その際には洗車洗剤に記載されている希釈率をしっかり守ってください。プロの仕事では、汚れに併せて希釈率を変え、場合によっては規定の希釈率よりも濃くすることもありますが、どの汚れに対してどの程度の希釈率で行えばよいかの見極めには経験が必要となりますし、規定よりも濃いものを使い続けると、プラスティックを酸化させるなど、車体を傷める原因となりますのでおすすめしません。
各洗剤に記載された希釈率は、車の汚れを落とし、表面を傷めることのない、最適なバランスになるよう設定されているものです。
また、いい洗車洗剤というのは何を目的として、その洗剤を使うかということによっても変わってきます。たとえば水垢を落とすだけなのに、わざわざアルコールを大量に含んだ高い洗剤を使うというのも、価格を考えると最適な方法とはいえません。高い洗車洗剤にも変な物はいっぱいありますしね。普段使っている物で落ちない場合はガラスコーティング専門店に相談するというのも選択の一つだと思います。